コース改修の必要性について

 

日本にあるコース数は近年減少傾向にありますが未だ約2100コース程です。それらのコースにおいて設計の立場から将来に向けてコースがどのような取り組みがなされるかを考えてみましょう。コースでは大きく分けて、維持修繕を目的とする補修のための改修工事と、戦略性・美観性の向上やプレーヤーニーズによる改造工事があります。コースは自然環境の中にあり、時には台風や猛暑と干ばつなど繰り返し、ほっておくと風化や劣化を余儀なくされます。年々地球規模の温暖化現象は進んでおり自然災害に見舞われることが多くなりました。その中でコースを手当てしなければ、良いコースの状態を保つことは出来ません。ゴルファーにとってゴルフコースは美しい場所であって景色が良い気持ちの良い場所という思い込みのままコースに訪れます。コース関係者は日常の繰り返しの中、当たり前の光景でしかない自分たちのコースに対していつもの景色が知らず知らずに劣化している変化に鈍感になりがちです。

よって、客観的な目を持った視点で、様々な問題点や課題に対して的確な判断と適正な対処をする仕組みが求められるものです。その為にも指摘できる見識と経験を設計家は持たなければならない存在です。

 

改修工事の必要性

維持修繕を目的とする改修工事としては以下の項目として

 1,グリーンの床土の入れ替え工事

 2,ティーの不陸補正の為の芝張替え工事

3,バンカー砂入替や外周の再整形工事

 4,FW/RFのティフトン芝の撤去張替え工事

 5,各所の暗渠排水の追加工事

 6,日陰を作ってしまっている樹木の伐採工事

 7,法面崩壊や池の漏水などの補修工事

 8,場内道路の舗装の補修工事やルート変更工事

 

主要な要点として

 グリーン

概ね30年経過ぐらいから排水不良により透水係数が低下し散水や降雨時に水の引きが悪くなり停滞水が様々な悪影響を引き起こす原因となります。メンテナンスにかける費用が増加する割に状態はそれほど上がることはないグリーンキーパーの知識や経験だけではどうすることもできない状況になってゆきます。日本において高麗グリーンをメインで作られた60年程の歴史を重ねたコースなどでは、当時の理論から傾斜が3~5%と強い場合が多く見受けられ、近年のように10フィートを超えるグリーンスピードではグリーン上で止まらない傾斜となっており、そういった場合は傾斜を変える必要が出てきます。その反面、長年の使用の中でフラットすぎる面を生むケースもあります。そういった場合、表面で水が滞留する傾向となり藻の発生や根上りなどの状態を誘発し何度も張替えをしなければならないようになってしまいます。グリーン表面水の適正な傾斜と床砂が活性化された状態の維持が必要不可欠です。

また、メンテナンスの問題として、造成時の床砂に混ぜる改良材の良し悪しや、日常管理の中での肥培管理で窒素過多になっていないか?適度にコアリング等の更新作業や目砂がされてきているか?によってグリーン自体の耐久性は変わってゆくものです。

形状について経年劣化というべきものは、高いところは下がり、低みのところは上がります。外周のマウンドも下がり、窪みは無くなります。管理作業の中で目砂を繰り返し散布し更新作業などの踏圧が主な原因です。グリーンが出来上がって10年ほどがピークの状態でそれ以降は徐々に下ることとなります。30年も経過すると作られた当時の原形は大分ぼやけてくることいえます。それが成熟なのか劣化なのかの見極めが必要となります。

 

 バンカー

年に何度かある豪雨時に砂と共に基盤の土も流され、バンカー砂と混ざり合いシルト分の混入をまねき排水不良の状態になりがちです。基盤の土壌や外周からの流入水の量にもより悪化の程度はまちまちではありますが、グリーンと同様に30年程度では何らかのケアーが必要となるでしょう。バンカー砂の絶対量も近年不足気味であるのと運賃コストの高騰などでバンカー砂の貴重性が高まっています。近年では床の土壌との明確な分離をすることでバンカー砂の寿命を永らえる方策がいろいろと考案されてきています。

 

 暗渠排水の追加

 芝にとって、水はけの状態はメンテナンス上大きなマイナス要因になります。これは、そのコースの土壌と大きく関係します。粘性土壌と砂質土状や黒土土壌では水はけの状態は大きく変わります。もっとも適しているのは黒土の土壌です。適度に水を持ち水はけが早く肥料持ちも良く芝にとっては最も適した土壌といえます。砂質土状では水はけは良いのですがシルト分を含んでいるため、その層が多い状態の領域では、水はけは思ったより悪くなり、乾燥時には土壌の固結を伴い、発根を阻害し肥料分も流某傾向です。粘性土壌の場合は、水はけが極端に悪いため、表面勾配が3%以下になった場合、停滞水を生む可能性が高くなります。停滞水は細菌の発生の温床となりミミズなどが生育してゆき、それを食するイノシシなどの害獣が集まる傾向となります。また、苔や藻の発生から芝は衰退し裸地となります。

 そのために、水がたまりそうなエリアにたいして、40cm程のすじ状に掘削し有孔管と単流砕石による排水層を入れてゆくことが効果的です。ティーグランド周辺の山手側やグリーン周辺、排水勾配が薄い集水桝の周辺など、あらゆるエリアにその手当てをしてゆくことは大切です。

 

 樹木について

 芝の生育には光合成が必要です。日差しが入らないところでは芝は無くなります。ティーやグリーンは敷地の端にくる場合が多いため外周の林帯や山のふもとに位置する場合が多く日差しを遮る樹木が多いのは必然的です。日差しが届くように伐採が必要です。コース間の林帯において、樹木間隔が狭い場合、そこにある樹木は相互に成長を圧迫していることが見受けられます。込んだ状態では上にしか伸びず木も太ることが出来ません。林帯内にある樹形の悪いものや細身のものを間伐することでゆったりとした林帯となり、木々もより豊かに成長でき、根元に日差しがふり込むまでの状態を作ることが出来ればそこに芝をはやすことも十分可能になります。

 

カート道路などの道路工事

 乗用カートの導入は進み、導入の際にアスファルト舗装やコンクリートのレールなどで走行可能にしています。コースにとって、道路は隠したい人工物のマイナス要因ですが、プレーに関していえば、よりコースに入り込んだところにルート設定すればプレースピードは増し、楽にプレーできることになります。どちらを優先するかというバランス感覚が重要です。また、その線形についても直線は極力避けるべきでしょう。あと付けの道路の場合、周辺の形状に対して、急な段差がないように高さを調整する必要があります。さらに言えば、法尻などにルート設定する場合、法側にもドロップ可能な平面を残すことが出来ると、ルール上の処置がスムーズになります。

 

舗装面が劣化し路肩も崩れ、芝も綺麗になっていないような状態は見慣れた光景となってしまっているケースをよく見かけることがありますが、整備しなおし、綺麗になることで景観美を損なわなくて済み、汚いものを見なくて済むのです。現代のコースにおいてコースのファクターの一つであることを重視するべきでしょう。

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